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不祥事相次ぐ日本郵便、物流大手・ロジスティードへ2割出資、3PL最大手との連携で総合物流企業に脱皮できるか

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日本郵便が3PL最大手のロジスティードに2割出資することを決めた。(撮影:梅谷秀司)

「出資した以上、1年程度で成果を出す」

日本郵便による物流大手・ロジスティード(旧日立物流)への出資に関して、親会社である日本郵政の根岸一行社長は10月8日の記者会見でそう宣言した。

「3~4年もかけるのではスピード感がどうなのかと思う」「ロジスティードと話をしている中で、(シナジー発揮の)蓋然性は相当高い」とも語り、シナジー創出に自信を示した。

ロジスティードは荷物の保管や受発送を一括で請け負う3PL(サードパーティー・ロジスティクス)国内最大手。2023年に米投資ファンドKKRに約6700億円で買収されて上場廃止となった後、日立物流から現社名に変更した。同社は27年の再上場を目指している。

日本郵便は10月6日、KKRから同社株19.9%(優先株を含む、議決権ベースでは14.9%)を、約1422億円で取得すると発表した。郵便物の減少で業績が低迷し、「不適切点呼」などの不祥事も相次ぐ中、起死回生の一手となりうるのか。

「総合物流」への布石

今回の出資に伴い、ロジスティードと資本業務提携を結び、取締役1人を送り込む。

日本郵便は、郵便と「ゆうパック」を冠する宅配という「ラストワンマイル」を有し、15年にはオーストラリアのトール社を買収して国際物流も手に入れた。一方、これら2事業の「中間」に位置する3PLの売上高は現状100億円に満たないという。

「3PLは当社にとって長らく空白地帯だった。協業を機に、『総合物流企業』を目指したい」と日本郵便の行木司・常務執行役員。連結売上高9107億円(2025年3月期)を誇るロジスティードとの提携をテコに、企業間物流から郵便と宅配まで一気通貫で手がけられる「総合物流企業」を目指す。

日本郵便は今年6月、長距離輸送を得意とするトナミホールディングスを完全子会社化した。ロジスティードにとっても、トナミや郵便局のネットワークを活用できれば、配送力の大幅強化となる。「ウィンウィンな相互補完関係を結べる」(行木常務)。

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