完全自動運転を目指すスタートアップのTuring(チューリング)が、11月17日に、シリーズAのファーストクローズとして合計約153億円の大型資金調達を実施したと発表した。
内訳は、エクイティ(株式)で97.7億円、デット(融資)で55億円となっている。これはファーストクローズであり、2026年初頭にもシリーズAのセカンドクローズとして、さらに今回と同規模の資金を集める計画だ。なお、事情に詳しい関係者によると、資金調達直前のバリュエーション(評価額)は約500億円に達しているという。
調達資金は「計算リソース」に充当
グローバルで競合企業が桁違いの資金投入を行っているなか、最低限でも追いつくために、現時点では少なくとも競合企業の約1/10程度の「計算リソース」が必要と判断した。
チューリングの盛島正人CFOは「日本の自動運転におけるナショナルチャンピオンになりえるまで事業が進捗しており、純粋な投資として十分なリターンが見込めると認識されてきたと考えている」と話す。
今回の調達資金は、主にGPU、データ収集、および人件費の3つに充てられる予定だ。データ収集には車両の購入費用や、1台あたり1日にテラバイト級のデータが出るため、それを収集するためのデータストレージや処理に莫大な費用がかかる。現在、GPUとデータ収集能力が不足しているため、これらを一気に増強していく計画だ。
また、今回の調達ラウンドにはVCに加え、デンソーなど自動車関連企業も参画している。チューリングは以前、EVハードウェア自体を開発し、それに自動運転技術を搭載して販売するという、自動車メーカーと競合するビジネスモデルであった。しかし、ハードウェア開発を中止し、AIによる自動運転技術開発にフォーカスするという方針に転換。それによって自動車業界との連携が容易になったという。今後は出資だけではなく、その後の業務提携や共同開発も視野に入れる。




















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