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多様化が進むベンチャー企業の「成長&出口戦略」 M&A、セカンダリー、スイングバイIPO…

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出口戦略や成長のためのM&Aが活発化し、未上場株の取引も広がり始めた。

苺畑に並ぶGRAのスタッフ
GRAはクミアイ化学の傘下で事業規模拡大を狙う(写真:GRA)

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AIなどディープテック領域で大型資金調達が相次ぐ一方、成熟ベンチャーの調達環境は悪化。「優勝劣敗」が鮮明になっている。本特集「すごいベンチャー100 2024年最新版」では、激変下でも伸びる未来のユニコーンを一挙紹介する。
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レイターステージ(成熟期)の資金調達に苦労するベンチャーも少なくない中、有力企業の間では従来型のIPOとは別のイグジット(出口戦略)を模索する動きが出ている。

「ミガキイチゴ」のブランドで高級イチゴを展開するアグリテックのGRAは2023年9月、農薬専業大手のクミアイ化学工業の子会社になった。現在GRAの株式は、クミアイ化学が65%、岩佐大輝CEOら役員・社員が35%を保有する。

IPOのメリットを実感できず

15年にINCJ、NECなどからシリーズAラウンドで資金調達。岩佐CEOは、追加で調達した20年ごろからIPOとM&A(合併・買収)の両にらみでイグジットの準備を進めたという。

商品のイチゴは1粒1000円で販売する(写真:GRA)

「イチゴは苗を作って収穫するまで20カ月かかるため、PDCAの速度を上げづらい。投資に対して規模の経済も利きにくい。株式市場との相性が必ずしもいいとは言えなかった」と岩佐CEOは振り返る。株価が安いと調達できる資金も減ってしまう。IPOのメリットを実感できずにいた。

その中でクミアイ化学と出合った。「農業の時間軸に関し十分な理解があり、イチゴの生産もわれわれに一任してくれる。地域社会や経済に貢献していくという考え方でも一致できた」(岩佐CEO)。

創業の地、宮城県山元町はイチゴ栽培が盛んな地域だが、東日本大震災で壊滅的な打撃を受けた。復興の一助となるべく岩佐氏はGRAを立ち上げ、農家の栽培技術やノウハウを標準化して、高品質と収量の両立を図ってきた。

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