上場しても「大金持ち」になれない創業社長の悲哀 上場によって売却できる保有株は多くない
起業家にとってIPO(新規公開株)は、一つの目標です。資金調達しやすくなり、信頼度も上がります。一方、IPOによるデメリットや、気を付けるべき点は意外にも知られていません。本稿では、自身も起業家として数々の辛酸をなめ、経営の伴走者として1000人以上の経営者の苦難を間近で見てきた徳谷智史の著書『経営中毒』より一部抜粋・再構成のうえ、社長にとってのIPOのメリット・デメリットをご紹介します。
上場するスタートアップは、ほんの一握り
ベンチャーキャピタルなどから出資(エクイティ)を受けて、スタートアップを経営していると、意識せざるをえないのが、「イグジット(出口)」です。
人が定着し、事業も軌道に乗ってきて資金も目処が立ちそうだ。それくらいのタイミングで「どうする、イグジットしちゃう?」なんて会話が社内で繰り広げられたりします。
イグジットとは、要は「会社の『出口』をどうするか」ということ。大別すると、イグジットは2つの種類があります。
1つ目はIPO(Initial Public Offering、新規公開株)です。自社の株式をパブリックな証券取引所に上場することで、誰でも株式を売買できるようにすることです。
2つ目はM&A(Mergers and Acquisitions)です。Mergersとは「合併」、Acquisitionsは「買収」を意味します。合併は複数の企業を統合して1つの新しい会社にすること、買収は会社を丸ごと買い取ることですね。丸ごとではなく、一部の事業だけ譲渡する事業譲渡などもあります。
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