「松屋」の「六厘舎」買収で懸念される牛丼チェーンの《同質化》問題…「吉野家」の後追いで、終わりなき"ラーメン屋の買収合戦"が勃発か

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松屋
松屋による六厘舎の買収は、吉と出るか凶と出るか……(写真:筆者撮影)

牛丼の「松屋」が、つけ麺の有名店「六厘舎」を買収するーー。

驚きのニュースだ。ただ、これは外食業界の文脈で見れば、意外ではない。牛丼市場はすでに成熟し、原材料費も人件費も上がり続けている。各社が「牛丼以外の柱」を探すのは、もはや当然の流れだ。吉野家もラーメンを「第3の柱」とするべく、ラーメン関連の企業の買収を続けている。

しかし私は、このニュースにどこか引っかかりを覚えた。

それが「同質化」への懸念である。簡単にいえば「牛丼屋、結局みんな同じ感じになってない?」ということだ。この違和感の正体を整理してみたい。

松屋 牛丼
松屋の“原点”である牛めし。今後どこへ向かっていくのか……(写真:筆者撮影)
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牛丼業界は飽和状態→ラーメンに手を伸ばす

2025年12月、松屋フーズHDはラーメン事業会社である松富士を約90億円で買収すると発表した。松富士は「六厘舎」を筆頭に、「舎鈴」「ジャンクガレッジ」「トナリ」など複数のラーメンブランドを展開し、100店舗規模のチェーンを築いている。

松屋側は、この買収を通じて、牛めしの「松屋」、とんかつの「松のや」に続く「第3の柱」としてラーメン事業を育てる。自社の出店ノウハウ・物流網・人材育成力と、松富士のブランド力・商品開発力を掛け合わせ、成長を加速させるのだ。

業界全体を見ると、2010年代半ば以降、牛丼チェーンの数はほぼ横ばいで推移しており、飽和感は否めない。元は単身男性向けにはじまった業態だが、そこに「すき家」が家族をターゲットに参入し、現在では市場の開拓余地はなくなりつつある。

その意味でも、“牛丼一本足”状態を脱し、複数のブランドを持つことは牛丼チェーンにとって重要だ。実際、松屋は近年、前述の「松のや」、そしてカレー業態である「マイカリー食堂」なども手掛け、それらと松屋の「複合店舗」も増やしている。その延長線上に今回の買収がある。

松屋 松のや マイカリー食堂
「松屋」「松のや」「マイカリー食堂」が一緒になった複合店舗(写真:筆者撮影)
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