「松屋」の「六厘舎」買収で懸念される牛丼チェーンの《同質化》問題…「吉野家」の後追いで、終わりなき"ラーメン屋の買収合戦"が勃発か

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そもそもラーメンは飲食業全体の中でも比較的単価が高く、また近年では「ラーメン1000円の壁」といわれるように、客単価も上げやすくなってきた。インバウンドの間でのラーメン人気もあって、事業の将来性は高い。

一方、昔からラーメン店は個人店、あるいは中小規模の店が多く、それらがチェーン展開しようとしても難しい側面があった。そこに圧倒的な物流規模・人材規模を持つ牛丼チェーンが入ることでの親和性が生まれる。

つまり、松屋によるラーメン店の買収は、かなり合理的な経営判断だと言えるのだ。

牛丼業界が繰り返してきた「コモディティ化」の歴史

ただ、ここで私が思うのは、それが一見、合理的かつ必然的に見える選択であっても、中長期的に見ればそれぞれの店の首を絞めないだろうか? ということだ。

ここでポイントになるのが、冒頭で指摘した「同質化」という言葉だ。

簡単に言うと、今回の動きは松屋が同業他社の吉野家と「同質化した」と見ることができる。

吉野家は昨年あたりからラーメン事業を加速させており、ラーメン店やラーメン関連の食品会社等の買収を続けている。かつてBSE(狂牛病)問題で牛丼が大打撃を受けた経験から、同社は「牛丼以外の柱」を模索し続けており、「うどん」や「唐揚げ」「カルビ丼」「カレー」など、あらゆる「柱」を模索してきた。

この積極的な買収は話題を呼んだため、今回の松屋の決断は吉野家に影響されてのことかもしれない。その意味では、松屋と同業他社が「同質化」しつつあるといえるのだ。

吉野家
吉野家はラーメン事業をはじめ、一足先に牛丼以外の「柱」を模索してきた(写真:筆者撮影)
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