牛丼の「松屋」、《ラーメン業界の"横綱"つけ麺店》買収の衝撃! "自前で育てる力"に長けた松屋フーズが大御所ブランド買収で描く新たな"勝ち筋"

✎ 1〜 ✎ 120 ✎ 121 ✎ 122 ✎ 123
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
六厘舎
松屋フーズホールディングスが買収した「六厘舎」。業界はザワついている(写真:筆者撮影)

2025年12月15日、ラーメン業界にとって見逃せないニュースが飛び込んできた。牛丼専門店「松屋」などを展開する松屋フーズホールディングスが、つけ麺の名門「六厘舎」を手掛ける松富士を買収すると発表したのだ。同社は今回の買収を通じて、つけ麺分野を拡充し、ラーメン事業のさらなる成長につなげる狙いだという。

この一報は、単なる企業買収の話にとどまらない。牛丼チェーン各社が水面下で繰り広げてきた「ラーメン」を巡る主導権争い、いわば牛丼チェーンのラーメン大戦争が、ついに表舞台に出てきたことを意味している。

六厘舎
東京駅にある「六厘舎」の人気店舗には、スーツケースを抱えた客もよく見られる(写真:筆者撮影)
この記事の画像を見る(12枚)

ラーメン分野の開拓は吉野家HDが早かったが…

まず押さえておくべきは、ラーメン分野で先行してきたのが吉野家ホールディングスであるという点だ。吉野家HDは早くからラーメンを次の収益の柱として位置付けてきた。

牛丼市場はすでに成熟期に入り、価格競争は限界に近づいている。原材料費、人件費、物流費が高騰するなか、ワンコイン前後の商品で利益を出し続けるのは至難の業だ。その一方で、ラーメンは牛丼よりは客単価が高く、専門性があり、海外展開もしやすいという特性を持つ。

吉野家HDはこの点に早くから目を付け、ラーメン専門店のM&Aを通じて、ノウハウとブランドを一気に取り込む戦略を取ってきた。自前主義にこだわらず、すでに支持を得ている店を仲間にすることで成長を加速させる。この合理的な判断が、同社のラーメン事業を一段階押し上げたのは間違いない。

次ページ松屋フーズのラーメン分野進出は「実に面白い」
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事