牛丼の「松屋」、《ラーメン業界の"横綱"つけ麺店》買収の衝撃! "自前で育てる力"に長けた松屋フーズが大御所ブランド買収で描く新たな"勝ち筋"

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では、松屋は「六厘舎」をどう広げていくのか。ここで重要になるのが、松富士のもう一つの顔、姉妹ブランド「舎鈴」の存在だ。

「舎鈴」
「舎鈴」の看板はなんだか荘厳。こちらもラーメン好きに人気のブランドだ(写真:筆者撮影)

松富士は、「六厘舎」の出店をあえて最小限に抑えつつ、「毎日食べられるつけめん」をコンセプトにした「舎鈴」を積極展開してきた。現在、松富士の約120店舗のうち、多くを「舎鈴」が占めている。

濃厚で非日常的な「六厘舎」に対し、「舎鈴」は日常に寄り添うつけ麺・ラーメン。この棲み分けが見事に機能し、結果として安定した店舗展開を実現している。

「舎鈴」のらーめん
「舎鈴」は煮干しがビシッと効いた「らーめん」も旨い(写真:筆者撮影)

松屋が取り込んだ“横綱”はどんな活躍を見せるのか

これは、松屋にとって極めて「勝ちの絵」が描きやすいモデルだ。「六厘舎」という圧倒的ブランドを旗艦に据えつつ、「舎鈴」を拡大のエンジンにする。牛丼や定食で培ってきた出店・運営ノウハウを重ねれば、再現性は高い。

牛丼チェーンがラーメンに本気になる理由は、もはや明白だ。国内市場が頭打ちになるなかで、ラーメンは数少ない成長余地を持つ分野であり、海外展開の切り札にもなる。吉野家が先行し、松屋が横綱を取り込んだ。この先、他の大手がどう動くのかも含め、ラーメン大戦争はますます激しさを増していくだろう。

牛丼チェーンの一手は、日本の外食産業がどこへ向かうのかを映し出す。松屋×六厘舎の決断は、その未来を占う重要な分岐点と言えそうだ。

【もっと読む】『マツコの知らない世界』でも注目、ラーメン日本一を争う山形・新潟の「ラーメン文化」が奥深すぎる! ラーメン消費額で常に上位も“納得の理由"では、ラーメンを生活文化として育んできた山形県と新潟県における地域の風土、食の知恵、行政の戦略、民間の挑戦の歩みについて、詳しく解説している。
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井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

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いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。東洋経済オンラインアワード2024にて「ソーシャルインパクト賞」を受賞。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

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