出番直前、ライバルに突然頭をペチッと叩かれ頭が真っ白に…。「M-1」3回戦進出するも辞退の太宰府市長、実は1回戦で「出場を後悔」の舞台裏
「反響は想像以上でした。買い物をしていたら『M-1頑張ってください』と声を掛けられ、太宰府天満宮の宮司からも連絡がありました」
そう話すのは漫才賞レース「M-1グランプリ2025」でおそらく政治家として初めて3回戦に進出した福岡県太宰府市長の楠田大蔵氏(50)。
他の自治体のお騒がせ市長をいじるスタイルで勝ち上がったが、3回戦の直前で自らの部下の不祥事が発生し、「辞退」という形で挑戦を終えた。年内で市長を退任する楠田氏が、M-1挑戦の舞台裏を赤裸々に語った。
(本記事は、前後編の前編です。後編はM-1挑戦終えた50歳市長、次の目標"婚活と受験"。「政治家もキャリアブレイクが必要」と強調する真意とは?)
爆笑問題に憧れて
政治家のM-1挑戦は年々増えている。
愛知県西尾市の中村健市長は2023年から3年連続で出場。今年は日本保守党の百田尚樹代表や、お笑い芸人ザブングル加藤さんと組んだ三重県四日市の森智広市長が参戦し、注目を集めた(森市長は大雨被害の対応で1回戦を辞退)。
今年の大会のエントリー数は過去最多の1万1521組。初出場のコンビやアマチュアが3回戦に進むのは非常に難しく、知名度抜群の百田氏も2回戦で涙をのんだ。政治家の中では伏兵的立場だった楠田氏の結果は快挙と言っていいだろう。
楠田氏がM-1挑戦を考えたのは、福岡県を中心に活動する太宰府市出身のタレント・高田課長との出会いがきっかけだ。
「3年くらい前、芸人の次長課長に引っ掛けて“市長課長”というコンビ名が浮かんだ、2023年に太宰府市の応援大使に就任してもらって、いつかはM-1との思いをこっそり温めていた」
昔からお笑いが好きで、政治や時事ニュースをネタにする爆笑問題とナイツのファン。この路線なら政治家の自分にもできるかもしれないと思っていた。
ただ、元衆議院議員で、国政選挙で3回落選した経験を持つ楠田氏は「M-1に出ることが選挙目当ての売名だと思われることは避けたかった」。
今年12月に行われる太宰府市長選に出馬せず退任すると決め、6月に不出馬表明。そこから一気に動く。
「M-1の募集要項を見たら8月がエントリーの締め切りだったので、高田課長にお願いして7月1日にコンビを結成した。高田課長は乗り気じゃなかった。彼は本職のベテランだし、ピンでやってる人。大きな責任とプレッシャーを感じていた」



















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