出番直前、ライバルに突然頭をペチッと叩かれ頭が真っ白に…。「M-1」3回戦進出するも辞退の太宰府市長、実は1回戦で「出場を後悔」の舞台裏

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M-1出場で見事予選を突破した(写真:太宰府市提供)

出番では立て直し、練習通りにできたしウケた。一方で、拍手を背に舞台袖に引っ込むと、「間違ったところに来てしまった。こんな場所にいたくない」という気持ちが改めて湧いてきた。

取材に来てくれた新聞記者には、精いっぱい言葉を濁して「お笑いに向いていない」とコメントした。

お笑いを見るのは楽しい、だから出たら楽しいと思っていたのに、実際は全然違った。決められた通りに喋らないといけないし、相方との関係も以前と違ってなんだか楽しくない、つらい。

1回戦を突破したと知ったときも、「ご祝儀みたいなもんだろう」とそれほど喜べなかった。

苦い経験も「収穫」にして2回戦へ

しかし、収穫は意外なところにあった。

「頭叩かれて、直前も直前だったのに相手の策にはまらず立て直せた。昔だったら切り替えられなかった。M-1に出たことで、50年生きてきてようやく自分が大人になったと確認できた」

会場に来ていた人たちの「面白かった」という声にも押され、意欲も徐々に出てきた。

2回戦の舞台は東京・浅草。市長がM-1に出ることに、「本業をほっぽり出して」という批判もあった。間違ったことをしているとは思っていなかったがいろいろ言われたくなくて、個人で貯めたマイルで航空券を取り、友人の家に宿泊して2回戦に臨んだ。

M-1出場に挑んだ市長
M-1出場に挑んだ市長(左)(写真:太宰府市提供)

後編に続きます。

後編はM-1挑戦終えた50歳市長、次の目標"婚活と受験"。「政治家もキャリアブレイクが必要」と強調する真意とは?
浦上 早苗 経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員(コミュニケーションマネジメント)

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

福岡市出身、早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で教員。現在は経済分野を中心に執筆編集、海外企業の日本進出における情報発信の助言を手掛ける。近著に『崖っぷち母子 仕事と子育てに詰んで中国へ飛ぶ』(大和書房)『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
X: https://twitter.com/sanadi37
公式サイト: https://uragami-sanae.jimdosite.com/

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