植田総裁発言で揺れる金利と為替、真意はどこに 8月の転換、「年内マイナス金利解除」はあるか
9月9日に報道された読売新聞による植田和男日銀総裁の単独インタビューを受け、円金利が急騰し、円相場でも乱高下が見られた。この報道がドル円相場見通しに与える影響などについて問い合わせが相次いでいる。
現状を5つのQ&Aで整理しておきたい。
マイナス金利政策の解除時期について踏み込んだ発言があったと解釈されている。
植田総裁は具体的な時期に関して「マイナス金利の解除後も物価目標の達成が可能と判断すれば、(解除を)やる」と述べたうえで、来春の賃上げ動向を含め「年末までに十分な情報やデータがそろう可能性はゼロではない」との考えを示した。
この発言が「年内にマイナス金利解除が判断される可能性が浮上した」と解釈され、円金利は上昇、円の対ドル相場も147円台後半から一時145.91円まで円高に振れた。
しかし、その後にすぐに反落しているのは以前から筆者が繰り返し述べている通り、今の円安の背景にはある程度、日本の基礎的需給環境の変容が寄与しているからだと思われる。
「年内にもマイナス金利解除」は過剰反応
もっとも、「年内にマイナス金利解除が判断される可能性が浮上した」という見方を過剰反応だと評価する声もある。
植田総裁の発言全体を見れば「まだ(物価目標の)達成が見える段階ではない。物価目標の実現が見えてくるのは、賃金と物価の好循環が金融緩和を止めても自律的に回っていく状況だ」と述べ、「とうてい決め打ちできる段階ではない」と念押ししている。
さらに、「物価目標の実現にはまだ距離がある。粘り強い金融緩和を続ける」とも述べており、結局、いつもと同じ言動ではないのかという評価もある。筆者もどちらかと言えばそう感じている。
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