全国中学校体育大会が2027年から規模縮小【9競技削減】へ──交錯する中体連と競技連盟の思惑の中で見直し進む、<中学生の「日本一」の価値>

夏は16競技、冬は4競技の選手が練習の成果を競い合う全国中学校体育大会(全中大会)。しかし、主催する日本中学校体育連盟(中体連)は2027年度から規模を縮小するとしている。夏は10競技、冬は駅伝のみの1競技に削減されるほか、残す競技でも参加選手を減らし、開催期間も3日とする。
なぜ規模縮小が必要なのか、“課外活動としての部活動”やその大会のあるべき姿とは。全中大会や中体連の歴史に詳しい早稲田大学スポーツ科学学術院教授の中澤篤史氏に話を聞いた。
「平等主義」によって肥大化した全中大会を見直しへ
──全国中学校体育大会(全中大会)とはいつ、どのように始まったのでしょうか。
戦後の日本には、「中学校の全国大会はやってはいけない」という時代がありました。その中で競技団体が先行して全国大会を始め、「それなら、中体連(当時:全国中学校体育連盟)や中学校教員たちが教育的な活動として責任を持って担うべきだ」ということになり、1979年に全中大会が始まりました。
当初は今より競技数が少なかったのですが、どの競技の子にも大会の機会を与えようという平等主義路線によって、次第に競技数が増えていきました。
──全中大会を主催する日本中学校体育連盟(中体連)は、2027年度以降の競技削減と規模縮小を決めています。
歴史的な経緯から見ると、今回の競技削減・規模縮小は大きな方針転換と言えるでしょう。現場の肥大化した競技システムのあり方、部活動全般の改革が求められている中で、全中大会の縮小は、時代の流れに沿ったやむをえない決断だったと思います。
──2027年度以降は水泳、ハンドボール、体操、新体操、ソフトボール男子、相撲、スキー、スケート、アイスホッケーの9競技が外れることになりました。部活動がある中学校が少ない競技が対象となっていますね。
すべてを維持するのは難しいものの、どこで線引きするかは悩ましい問題だったと思います。今回は「中学校における部活動設置率20%未満の競技」という基準を示しつつ、例えば柔道は日本の宝なので、基準を満たさずとも残そう、という結論が出たということでしょう。
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