全国中学校体育大会が2027年から規模縮小【9競技削減】へ──交錯する中体連と競技連盟の思惑の中で見直し進む、<中学生の「日本一」の価値>

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

──部活動の過熱や、発達段階の心身への影響も考える必要はありそうですね。

ええ。「全国大会があるから過度な練習が助長され、勝利至上主義になるのでは」という声は繰り返し上がっていました。

スポーツ庁は2022年に「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」を出しましたが、そこには平日は1日、土日はどちらかを休もう、と書かれています。つまり、大会前だからといってたくさん練習するのではなく、あくまで学業が優先でありバランスが大事だということ。しかし、とくに強豪校はその範疇を飛び越えてしまう場合があり、かねて問題になってきました。全中大会や各競技大会の出場要件として、このガイドラインの遵守を前提にするなどの工夫も必要ではないでしょうか。

みんなが納得する持続可能な部活動のあり方を

──全中大会の代替大会を検討している競技団体もありますが、そこで中体連や教育委員会、教員が関わる可能性もあるでしょうか?

あると思います。全国ではマイナー競技でも、とある地域では競技人口が多いような競技もあります。こうした場合、競技人口が多い地域に限って大会を実施するもケースあるでしょうし、そうなれば教員が関わる可能性も出てくるでしょう。

──最後に、中学生の部活動の今後について、どのような形が理想だと思いますか?

私は、部活動自体をなくした方がいいとは思っていません。部活動は、希望する生徒が自主的に取り組む課外活動です。楽器を吹いてみたいから吹奏楽のグループを作ってみるとか、放課後にサッカーを楽しむとか、教科を超えた集団ができること自体は今後もなくならないと思います。

これからは「やらなければ」「続けなければ」という強迫観念ではなく、子どもたちの素朴なやる気を緩やかに受け止める形で、部活動を再構成すべきではないでしょうか。今は部活動への期待値が高すぎて、縛りがきつくて窮屈、という本末転倒な状態なのでは。部活動の目的は「友達とのおしゃべり」でもいいし、多様でいいのだと思います。

昔は、「部活動は強制参加」という中学校もありましたが、近年は減ってきて、“やりすぎ”な部活動のあり方は是正されつつあります。地域移行・展開を模索するだけでなく、部活動のよさを見失わないような持続可能なあり方も探るべきでしょう。大それたビジョンを掲げずとも、みんなが納得できる形でソフトランディングできればいいなと思います。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
吉田 渓 フリーライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

よしだ けい / Kei Yoshida

神奈川県出身。大学在学中からフリーライターとして執筆活動を開始。近年は心と身体、教育、ワークスタイルなどを中心に執筆を行う。ライフワークは農業や漁業にまつわる言い伝えや桜の言い伝えを調べること。著書に『働く女のスポーツ処方箋』がある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事