【12月15日で最終回を迎えるNHKの大河ドラマ「光る君へ」。2024年1月より著述家の真山知幸さんが平安時代にスポットライトを当てて書かれている記事の中でも、とくに人気の高かった記事をお届けします。こちらは2024年9月15日に配信した記事の再配信です。】
「定子を愛した一条天皇」を愛した彰子
自分以外の誰かに気持ちがある人に振り向いてもらうのは、簡単なことではない。
藤原道隆の長女・藤原定子と、藤原道長の長女・藤原彰子は「一条天皇の寵愛を受けて、子どもを授かること」を使命として親に送り込まれた……という点では同じである。
2人の大きな違いは、彰子の場合、自分が入内したときには、すでに一条天皇には、最愛の人がほかにいたということだ。
正暦元(990)年、一条天皇は11歳で元服。数日後に道隆の娘で15歳の定子が入内することになる。兼家が出家し、道隆が関白、次いで摂政となったのは、この数か月後のことだ。まさに道隆が絶頂期を迎えるなか、一条天皇と定子は出会い、距離を縮めていく。
そんな一条天皇と定子が出会った年に、道長の娘である彰子はどうしていたか。3歳になり、初めて袴をつける儀式「着袴の儀」が執り行われていた。
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