霊能者の予言「当たっている」と思うカラクリ インチキに惑わされるのは企業の偉い人も同じ

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頭のいい人が、なぜこれほど「うまい話」にのせられてしまうのか(写真:perfecta/PIXTA)
ビジネススクールで分析されるのは、グーグルやアマゾンのような成功企業の戦略がほとんどだ。多くの経営者も注目し、自社に導入しようとしているが、そうした表面的な成功体験だけを真似しても、うまくはいかない。ビジネスの成功事例を当てにするのは、霊能者の予言をありがたがるのと同じともいえる。
これに対して「見えないゴリラ実験」でイグ・ノーベル賞を受賞した心理学者のダニエル・シモンズ氏が、同じく心理学者のクリストファー・チャブリス氏とともに著した最新作『全員“カモ”』で提示するのは、「失敗と向き合うことの重要性」だ。人間の認知能力の脆弱性を知ったうえで、理性的な判断を心がけるためにも、このポイントを押さえておきたい。

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全員“カモ”: 「ズルい人」がはびこるこの世界で、まっとうな思考を身につける方法
『全員“カモ”: 「ズルい人」がはびこるこの世界で、まっとうな思考を身につける方法』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

ビジネスの世界では、長期的に業績を挙げている企業に注目し、これらの企業に共通する特徴を見つけようとする手法が古くから用いられてきた。ビジネススクールでは、成功した企業やリーダー、意思決定の事例を分析することがカリキュラムの中心になっている。しかし、このやり方は、生還した爆撃機だけを分析対象にするのと同じことだ。

その典型例が、作家マルコム・グラッドウェルのベストセラー『ティッピング・ポイント』(飛鳥新社)の冒頭に出てくるエピソードだ。

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