【成功は自分のおかげ、失敗は他人のせい】「自己奉仕バイアス」が強すぎると、自分を客観視できなくなる。実験が示す「人間の性質」とは

他人の業績は過小評価する一方で自分の業績を過大評価するのも自己奉仕バイアスの例です(写真:polkadot/PIXTA)
うまくいったら自分のおかげで、失敗したら他人や運のせい……。成功を自分の性格などの内的要因、失敗を他者などの外的要因に帰属させるのが、「自己奉仕バイアス」です。認知心理学者の栗山直子氏は、「自分を客観視できないことで、現実の認識がゆがむこともある」と警鐘を鳴らします。
※本稿は『世界は認知バイアスが動かしている』から一部抜粋・編集したものです。
成功は自分の努力、失敗は他人のせい
うまくいったら自分のおかげで、失敗したら他人や運のせいにする人はどこにもいます。これも認知バイアスのひとつです。成功は自分の性格などの内的要因、失敗は他者など外的要因に原因を求める(帰属させる)というのが、自己奉仕バイアスです。
このバイアスには良いところもあって、自己肯定感を保てます。失敗して、「自分のせいだ、自分のせいだ」と思い込むと精神的につらいので、自分の肯定感を保つためには自己奉仕バイアスはとても有効です。
ただ、自分を客観視できないことで、現実の認識がゆがむこともあります。たとえば、自分のことを買いかぶり過ぎて失敗したり、失敗しても自分は悪くないと思っているので、同じことを繰り返したりし、改善にはつながりません。行動に対して自己奉仕バイアスは多大な影響を及ぼします。他人の業績は過小評価する一方で自分の業績を過大評価するのも自己奉仕バイアスの例です。
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