【成功は自分のおかげ、失敗は他人のせい】「自己奉仕バイアス」が強すぎると、自分を客観視できなくなる。実験が示す「人間の性質」とは
ですから、もし、みなさんが何かに取り組んで成功したいと考えるのならば、運や能力よりも努力が大切だと考えることが成功につながりやすいといえるでしょう。
自分が壊れないための安全装置「防衛機制」
もうひとつ、自己奉仕バイアスと関係する心理学用語に「防衛機制」があります。これは欲求が満たされない自分を守るために無意識に不満の矛先を他の方向に向ける精神のメカニズムです。自我を守り、自分自身が壊れてしまわないようにするための安全装置のようなものです。
たとえば、自分の中の受け入れがたい感情や衝動を他人に転嫁したり、失敗しても自己正当化したり、嫌なことがあっても「これは神さまが与えた試練だ」と思い込んだりして、自分を防衛します。不快な記憶や感情を無意識のうちに押し込めることや失敗や欠点を社会的に容認される理由で正当化することも防衛機制に当てはまります。
自己奉仕バイアスは自分の自尊心を過大評価する傾向にありますが、自分を守ることにもつながって防衛機制として働く面もあります。都合の良いバイアスですが、このバイアスのおかげで、私たちは日々の出来事に一喜一憂することなく、心穏やかに日常生活を送れているともいえるのです。
人間は何事にも筋を通したいと思う傾向があります。「この人は悪人だ」と一度思うと、その人は常に悪い行動をすると思い込み、「良い人だ」と評価すれば常に良い行動をすると思い込んでしまいます。
これは一貫性バイアスと呼ばれ、印象や意見やイメージを一度持つと、それに合わせて一貫性を持たせようとしてしまう傾向のことです。一度ある意見に賛成という考えを持つと、賛成ということを変えずに筋を通そうとしてしまうというようなことも一貫性バイアスの一例です。
当たり前ですが、人間の行動はいつも一貫しているわけではありません。職場で優秀だと思われている人が、基本的なミスをする場合もあれば、仕事ができないと思われていた営業担当者が大型契約を獲得することもあります。
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