
「異動の辞令を出したら、まさか退職届で返されるなんて……」
ある製造業の営業部長が、若手社員の退職届を手に呆然としていた。関西から千葉への異動について懇切丁寧に説明したつもりだった。なのに彼は受け入れなかった。それどころか、退職を決意するだなんて。
上司は部下にどう異動を伝えたらよかったのだろうか。
理不尽な転勤は減ったけれど……
神奈川出身で入社2年目になる部下は、最初から関東勤務を希望していた。しかし入社後の配属は関西支社。上司からは「しばらくは関西で頑張れ。いずれ希望通り関東に戻れるから」と言われていた。
先輩たちも「関西の人は温かいよ」「1年もすれば第二の故郷になる」「関西での営業活動に慣れると、成長スピードが速いんだ」など体験談を語るので、彼は関西で頑張る決意を固めたのだった。
実際、関西に配属されて2年も経つと商習慣にも慣れ、お客様との関係も築けていた。そんな矢先、上司から千葉への異動を打診されたのだ。
上司は部下に辞令を伝えることを、あまり深く考えていなかったようだった。
「昔は、1週間前に突然言い渡された」
「福岡で5年目を迎えていた自分に、いきなり『来週から山形支社に行ってくれ』と言われたものだ」
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