「技能実習生なんて受け入れるな!」「外国人は出ていけ」と憤る人が知らない“データの真実”…外国人による犯罪は本当に増えているのか?

2025年7月27日、佐賀県伊万里市に住むベトナム人技能実習生の男が、強盗殺人などの疑いで逮捕された。
近くに住む日本人女性を脅し、現金1万1000円を奪ったうえ、ナイフで首などを切りつけて失血死させたとされる。男は黙秘を続けており、詳しい動機は不明だ。事件は周辺地域に大きな衝撃を与え、住民の不安と動揺はいまも収まっていない。
悲惨な事件である。いかなる理由があろうと、こうした凶悪犯罪は断じて許されない。筆者もこの男に対し、強い憤りを覚える。被害者の方に心から哀悼の意を表するとともに、犯人には法に基づく厳正な処罰が下されることを切に願う。
本稿の議論は、この前提のもとに進めていく。
SNS上に広がる「反外国人感情」
事件が起きた伊万里市(人口約5万2000人)には、約930人の外国人が暮らしている。近年、同市では、外国人住民との共生を進める取り組みを行ってきたという。事件を受けて市長も、「差別や偏見に結び付けてはならない」と呼びかけた。
それでもSNSには、外国人全体や技能実習制度に対する否定的な意見が飛びかった。とくに目立ったのは、以下の2つの論調である。
「無秩序に外国人を入れた結果、凶悪犯罪が増えた。受け入れ拡大は、日本の治安を確実に悪化させる」
「技能実習生は劣悪な環境で働いており、暴発すると何をするかわからないから怖い」
こうした声は社会に根強く存在する不安の表れであり、軽視はできない。
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