「歩道橋から飛び降りて、顔がぐちゃぐちゃになっても愛してくれた」 《25歳差、唯一愛した人》との別れが、"楽しかった"と言えるワケ

✎ 1〜 ✎ 24 ✎ 25 ✎ 26 ✎ 27
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
夫婦
出会った頃の2人(写真:卯月妙子さん提供)

「お父さん、(向こうで)待ってろよ!」

漫画家・卯月妙子さん(54歳)の叫びが火葬場に響き渡った。

夫のボビーさん(享年79歳)の遺体が収められた棺が、火葬炉に運ばれていく瞬間だった。それまでは気丈に、参列者や関係者とやり取りしていた卯月さんが崩れ落ち、号泣する。その肩を友人たちが優しくなでる。

卯月さんは2025年12月1日、17年間連れ添ったボビーさんを看取った。

2人が広く知られるようになったのは12年。夫との出会いや日常、卯月さんを襲った事故、ふたりの絆や愛情、平穏な日々を取り戻すまでを描いた自伝コミックエッセイ『人間仮免中』が、多くの人々の共感や感動を集め、10万部超のベストセラーになったのだ。

誰のもとにも必ず訪れる「死」。最愛の人との別れに直面したとき、どのような感情が湧き出るのか。悲しみや辛さとどう向き合えばいいのか。

「年齢差25歳」の2人が惹かれ合った日

卯月さんは1971年生まれ。20歳で幼少期からの夢だった漫画家デビューをした。一方で、重度の統合失調症と発達障害を抱え、自傷行為や自殺未遂を繰り返した不安定な時期もあった。

次ページ「あなた笑わないね、笑わせてあげよう」
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事