「お父さん、(向こうで)待ってろよ!」
漫画家・卯月妙子さん(54歳)の叫びが火葬場に響き渡った。
夫のボビーさん(享年79歳)の遺体が収められた棺が、火葬炉に運ばれていく瞬間だった。それまでは気丈に、参列者や関係者とやり取りしていた卯月さんが崩れ落ち、号泣する。その肩を友人たちが優しくなでる。
卯月さんは2025年12月1日、17年間連れ添ったボビーさんを看取った。
2人が広く知られるようになったのは12年。夫との出会いや日常、卯月さんを襲った事故、ふたりの絆や愛情、平穏な日々を取り戻すまでを描いた自伝コミックエッセイ『人間仮免中』が、多くの人々の共感や感動を集め、10万部超のベストセラーになったのだ。
誰のもとにも必ず訪れる「死」。最愛の人との別れに直面したとき、どのような感情が湧き出るのか。悲しみや辛さとどう向き合えばいいのか。
「年齢差25歳」の2人が惹かれ合った日
卯月さんは1971年生まれ。20歳で幼少期からの夢だった漫画家デビューをした。一方で、重度の統合失調症と発達障害を抱え、自傷行為や自殺未遂を繰り返した不安定な時期もあった。


















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