「技能実習生なんて受け入れるな!」「外国人は出ていけ」と憤る人が知らない“データの真実”…外国人による犯罪は本当に増えているのか?
悲惨な出来事を見聞きしたとき、誰もが「自分や家族に同じことが起きたら」と不安を覚えるものだ。だが、その感情が事実に裏打ちされたものか、それとも根拠の乏しい過度な一般化なのか、一度立ち止まって冷静に考える必要がある。
とくに殺人や強盗といった事件は繰り返し報道されるため、「外国人がとんでもないことをした」というイメージが強く残る。
一方、地域で黙々と働き、何事もなく暮らしている外国人の姿はほとんど注目されない。こうして可視化の偏りが生じ、「外国人=何をするかわからない人」という図式が形成されやすくなるのだ。
外国人が増えると「治安は悪化する」のか?
はたして外国人が増えると、本当に治安は悪化するのだろうか?
警察庁の統計データは、この思い込みを明確に否定している。
下表は、在留外国人数と外国人の犯罪検挙人数の推移を示したものである。見てわかるとおり、在留外国人がこの15年で約1.8倍に増えたにもかかわらず、外国人の犯罪検挙人数はほぼ横ばいで推移している。在留外国人全体に占める犯罪者の割合はむしろ低下しているのだ。
しかも、外国人による刑法犯の7割近くは窃盗であり、今回のような凶悪犯は全体の2%弱にすぎない。もちろん凶悪犯の発生は看過できないが、全体の傾向をふまえずに、一部の事例だけですべてを判断しないほうがいいだろう。


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