「技能実習生なんて受け入れるな!」「外国人は出ていけ」と憤る人が知らない“データの真実”…外国人による犯罪は本当に増えているのか?
そして2027年4月からは、制度が「育成就労制度」に段階的に移行する。これによって国内の人手不足を解消すべく、コストをかけて日本の労働力となるように外国人を育成することになる。
本人希望による転籍の制限や来日前の多額の借金といった構造的問題が是正されれば、実習生が犯罪に走るリスクはさらに減っていくだろう。

感情と事実にどう向き合うか
外国人に対するこうした思い込みの背景には、日常的な接点の少なさも関係しているだろう。
調査によると、「外国人の知人がおらず、これまで付き合ったこともない」日本人は、全体の4割以上にのぼるという。接点がないまま、極端な事件や断片的な情報だけで判断すれば、偏見や思い込みが強まるのは当然のことだ。

実情を知らずに、「もう外国人は来るな!」という感情論に終始するのは、我々自身の首を絞めることにもつながる。すでに日本の多くの産業は外国人労働者に支えられており、彼らがいなくなれば、社会サービスや経済は立ち行かなくなる。
今回の事件を受け、外国人を危険視する声が高まるのは無理もない。しかし、その感情が根拠の薄い不安に基づくなら、根本的な問題解決は遠のく。
大切なのは、感情と事実を切り分けて考えることである。事件に憤りを感じるのは当然だが、その矛先を外国人全体に向けるのではなく、こうした悲劇を二度と起こさないための方策を冷静に探るべきである。
そのためには、犯罪を起こした個人に厳罰を求めると同時に、「外国人との接点の少なさ」や「偏った情報」といった不安の根本原因を解消する努力が不可欠だ。相互理解と信頼を築く地道な取り組みこそが、真の安全と安定を生み出す唯一の道である。
感情論に流されることなく、事実を正しくとらえ、現実的な解決策を探ること。これが、この事件から私たちが学ぶべき最も重要な教訓ではないだろうか。
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