「技能実習生なんて受け入れるな!」「外国人は出ていけ」と憤る人が知らない“データの真実”…外国人による犯罪は本当に増えているのか?

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日本では入国時に厳格な審査が行われる。むろん制度をすり抜ける例がないとは言えないが、その可能性は高くない。

ほとんどの外国人は一定のフィルターを通っているという現状をふまえれば、「外国人が増える=凶悪犯罪が増える」という短絡的な図式は成立しないのだ。

「かわいそうな境遇」だと誤解される技能実習生

技能実習生に対する世間のイメージも、現実と大きくずれていることが多い。

環境の悪い場所で働かせられたり、ハラスメントを受けたりした挙句、失踪するといった問題ばかりが報道でフォーカスされるため、「技能実習生=かわいそうな境遇に置かれた犯罪者予備軍」という印象が広がりがちだ。

そして今回のような事件が起きると、「やはり実習生は何をするかわからない」という先入観を多くの人が強めてしまう。

しかし実際には、現在の会社や仕事に満足している技能実習生のほうが圧倒的に多い。2023年に外国人技能実習機構が実施した調査によれば、帰国した元実習生の92.1%が「技能実習で学んだことが役に立った」と答えている。

また、昨年行われた別の調査でも、「日本での生活に満足している」と答えた実習生は、全体の8割を超えていた。多くは職場と良好な関係を築き、安定して働いているのだ。

■帰国した元実習生に聞いた技能実習の効果
 「技能実習期間を通じて学んだことが、帰国後役に立ちましたか?」
図3
■技能実習生に聞いた生活環境全般の満足度
 「あなたは日本での生活に満足していますか?」
図4

もちろん問題がないわけではない。賃金未払いなどの法令違反は依然として発生しているし、今回の事件のように、「とんでもない実習生」が存在するケースもある。だが、それは全体の一部であり、大半の実習生が日本で円満に働いている事実を見落としてはならない。

参考までに付言すると、技能実習生による犯罪の約75%は、「入管法違反」と「窃盗犯」が占めている。そもそも実習生が、今回のような凶悪事件を起こすケースはきわめて少ない。

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