「政府予想」「具体的数字」すら当てにならない理由 明確な数字ともっともらしい話は詐欺師の手口

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その数字、根拠はありますか?(写真:metamorworks/PIXTA)
たとえば、新車の価格が「300万円です」と言われると、なにか余計な費用が上乗せされ、切り上げられているのではないかと疑ってしまうが、「323万円です」と言われると、まあ、そんなものかと納得してしまう――。キリのいい数字よりも具体的な数字がちりばめられたほうが「信頼できる」と思ってしまうのは、私たちの脳がリアルな数字だと判断してしまうからだ。具体的な数字で説得力を持たせるのは、洋の東西を問わないが、詐欺師の常套手段でもある。
アメリカの大学で教鞭を執る心理学者ダニエル・シモンズ、クリストファー・チャブリス両氏による最新刊『全員〝カモ〞』では、投資の勧誘で使われた実例を紹介し、数字のトリックに勝手に納得して、だまされてしまう人の心理が詳しく解説されている。

正確で具体的な数字ほど購買意欲が増す

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数字が具体的になればなるほど、説得力は増す。たとえば、南フロリダ、ロングアイランド、ニューヨークの1万6000軒以上の住宅販売に関する分析では、具体的な価格(たとえば、37万ドルよりも36万7500ドル)が明記された住宅のほうが高く売れたということが分かっている。具体的な初期価格によってより強い“錨(アンカー)”を生み出せるのだろう。

つまり、人々は交渉の余地がそれほどないと感じてしまうのだ。買い手がこうした傾向に対抗するには、概算になるよう数字を丸めてから交渉を始めるとよい。狡猾な詐欺師は、人に納得してもらえるような嘘を長時間維持するためには正確で具体的な情報が必要だということを分かっている。

正確性には、確かに利点もある。ほかの条件が同じであれば、あいまいな予測をするモデルよりも、正確な予測をするモデルのほうがよい。

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