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中国ディープシーク台頭で生まれたいくつかの疑念 はたしてこれは"現代のスプートニク"なのか

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多くのAI専門家は、「アメリカには少なくとも数年分のリードがある」と決めつけていた。

(写真:Andrey Rudakov/Bloomberg)

株式市場に衝撃をもたらし、シリコンバレーの巨大企業をおびえさせ、アメリカの技術支配の終わりについて息もつかせぬ議論を巻き起こしている人工知能(AI)の躍進は、「強化学習を通じた大規模言語モデルにおける推論力の促進」という地味で専門的な題名の論文とともに訪れた。

中国のAIスタートアップDeepSeek(ディープシーク)が先週発表した22ページのその論文は、即座に警鐘を鳴り響かせたわけではない。専門家たちが論文の主張とそこに記されていることの意味を理解するのには数日を要した。

ディープシークがつくり出したのは「DeepSeek-R1」と呼ばれる新しいAIモデル。同社の研究チームは、アメリカの一流AIモデルに匹敵する性能を、そこそこの数の二流のAIチップとわずかな費用で構築したと主張している。

同社は、純粋な計算能力の代わりに巧みなエンジニアリングを用いることで、これを成し遂げたとしている。おまけに、それが行われたのは中国なのだ。世界のAI競争において1位に遠く及ばない2位、と多くの専門家からみられていた国である。

当初は疑っていた業界ウォッチャーも…

業界ウォッチャーの中には当初、ディープシークの躍進に疑いの目を向ける者もいた。R1の結果を達成するにあたって、ディープシークは不正を犯したか、実際より優れたものに見えるよう数字を誤魔化したに違いない、と彼らは考えたのだ。

アメリカの輸出規制対象になっているエヌビディアの「H100」チップを違法に手に入れて隠し持ち、それに関しウソをついているのかもしれない……など、いくつかの疑念が持ち上がった。

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