霊能者の予言「当たっている」と思うカラクリ インチキに惑わされるのは企業の偉い人も同じ

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グラッドウェルは、カジュアルシューズ・ブランドの「ハッシュパピー」が、1994年まで低迷していたが、ニューヨークのサブカルチャーの発信源である流行に敏感なインフルエンサーたちに支持され始めたことで突然大流行し、1993年から1995年にかけての年間売り上げが3万足から43万足に跳ね上がったと記している。

企業が自社ブランドを宣伝するために「インフルエンサー」を活用する可能性を示す好例とされているのだ。

確かに、他よりも大きな影響力を持つ消費者はいるが、少数のインフルエンサーに製品を提供し、それを大衆に向けて宣伝してもらえば、マーケティングは必ず成功するのだろうか?

実際には、ハッシュパピーの事例は「流行の最先端を行く人たちに履いてもらえばシューズ・ブランドは急成長する」や、「インフルエンサーを起用することが企業の成功の秘訣である」といった考えを裏づける証拠を何も示していない。成功の原因を見極めるためには、1つの分かりやすい要素だけではなく、あらゆる要素を考慮しなければならない。

集中力が併せ持つメリットとデメリット

たとえば、もともと優れた製品やサービスを提供していて、売上高や利益が高い企業ほど、最新のマーケティングのアイデアを試す傾向が強いという可能性も考えられる。グーグルの従業員への待遇や、アマゾンの会議の進め方、フィンランドの学校の授業のやり方、アメリカのネイビーシールズ軍特殊部隊のマネジメント法など、表面的な部分をただ真似ようとしても、これらの優れた組織に匹敵する業績を挙げられるわけではないのと同じ原理だ。

インフルエンサーを用いたマーケティングが本当に成功をもたらすかどうかを検証するには、医学の臨床試験と同じ手法を当てはめなければならない。すなわち、類似した企業を大量に被験者に見立て、インフルエンサー戦略を用いるグループとそうでないグループにランダムに分け、その戦略が成功したかどうかをグループ間で比較する必要がある。

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