
情報の洪水に溺れそうな私たちに必要なこと(写真:rowe_7e/PIXTA)
われわれはみんな、それぞれの専門分野を持っている。マーケティング担当者は、最近の顧客の動向を、スイカ農家はおいしいスイカの見分け方を、子育て中の親は我が子の好き嫌いを把握し、人に語って聞かせることができるだろう。しかし、それらの専門知識とは別に、この世界を生きている私たちが共通して持っておくべき「知識」がある。
人類が長い歴史をかけて培ってきた「この世界のルール」と言ってもいいかもしれない。
しかし、この「人類共通のルール」は、人々がお互いに会話をするために非常に大切であるにもかかわらず、なかなか学校では教えてくれないのだ。
実は、そのルールを理解している人こそが「知性教養のある人」と呼ばれるにふさわしい。
韓国で教養ブームを巻き起こし300万部のミリオンセラーとなった『全人類の教養大全1』(シリーズで発売中)はその知識を身につけるために書かれ、人々に「知の地図」を提供してきた。読みどころを、人文ライター・編集者の斎藤哲也氏に解説してもらった。
教養とは雑学ではない
『全人類の教養大全』とはなんとも大仰なタイトルだが、韓国語の原著タイトルを直訳すると、『知的な会話のための広く浅い知識』である。たしかに、これをそのまま日本語訳版の書名にするのは、私でも躊躇する。出版社側はその内容から、『全人類の教養大全』と大胆な書名を決断したのだろう。そして実のところ、この書名はあながち的を外しているわけでもないのだ。
本シリーズはベストセラーとなり、韓国の出版界に一大センセーションを巻き起こした。
原著タイトルの挑発的ともいえるタイトルとは裏腹に、本書は単なる雑学の寄せ集めではない。著者の狙いは、情報の洪水で途方に暮れる現代人に対し、「知のOS」ともいうべき思考のフレームワークを提供し、世界を構造的に理解するための羅針盤を示すことにある。
トピックボードAD
有料会員限定記事
キャリア・教育の人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら