中国石油化工股份有限公司(シノペック)は3月29日、2019年の業績を発表した。財務報告書によれば、連結売上高は2兆9700億元(約45兆円)と前年比2.6%増加して過去最高を更新。しかし親会社(訳注:非上場の国有持ち株会社の中国石油化工集団)に帰属する純利益は576億元(約8814億円)にとどまり、前年比8.7%減少した。
シノペックは中国の三大石油メジャーの1社で、国務院国有資産監督管理委員会が所管する中央企業。事業セグメントは石油精製、石油製品の販売・流通、油田・ガス田の探鉱および開発、化学製品の製造販売の4つに分かれ、そのうち石油精製部門の比率が半分以上を占めている。
2019年の石油精製部門の営業利益は306億元(約4682億円)と、前年比44%も減少。精製事業の粗利益は前年より20.8%低い1トンあたり366元(約5600円)に落ち込んだ。化学製品部門でも営業利益は172億元(約2632億円)と、前年比36.5%減少。大幅減益の要因は、中国国内の石油製品・化学製品の供給が需要を上回ったことによる販売価格の下落だ。
協調減産決裂に新型コロナが追い打ち
一方、油田・ガス田の探鉱および開発部門では、営業利益が前年比 192%増の93億元(約1423億円)と大増益を記録した。天然ガス事業の積極展開により、販売量と価格が上向いたためだ。石油製品の販売・流通部門も好調を維持し、営業利益は前年比24%増の291億元(約4453億円)であった。
2020年のシノペックの経営はさらなる逆風にさらされている。産油国の協調減産交渉が3月に決裂したうえ、新型コロナウイルスの世界的流行による需要縮小が追い打ちをかけ、国際原油相場は年初から60%以上も急落した。
シノペックは財務報告書のなかで、産油国の供給能力、世界需要の動向、在庫水準、地政学的影響などを総合すると、国際原油相場は2020年を通じて低水準で推移すると予想した。同社の経営計画は調整を迫られており、今後の市場の変化に応じて年間の生産計画を見直すという。
(財新記者:曽凌軻)
※原文は3月30日配信
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