映画館の営業再開に急遽待ったがかかった。多数の映画館関係者からの情報によれば、3月27日に国家電影局(映画業界を所管する行政機関)が緊急通達を発令。すべての映画館は営業を再開してはならず、既に再開した映画館は営業を停止し、再開の具体的な時期について次の通知を待つように指示した。
「電影局は理由を一切説明しなかったが、やはり観客の密集を心配しているのだろう。結局のところ、国民生活に占める映画の重要性は低いということだ」。ある映画館運営会社の副社長は、財新記者の取材にそう語った。
一方、電影局に近いある関係者は、既に営業を再開した映画館の興行成績が振るわないことから、緊急通達は業界の苦況がさらに深まる事態を懸念したための措置ではないかと見ている。
防疫コストにコンテンツ不足が追い打ち
「一日も早い営業再開に向けて準備を進めていたのに、いったいどうすればいいのか」。通達が出た後、映画館の経営者からはそんな戸惑いの声が上がった。
中国は徹底した封じ込めで新型コロナウイルスの流行を抑制したが、その後の経済活動の再開は思うように進んでいない。なかでも映画業界は再開が最も遅れている業界のひとつだ。
映画館の運営会社は、仮に政府の企業支援策でテナント料を軽減してもらえても、それが現金収入になるわけではない。防疫対策強化のための設備投資も経営コストを増加させる。新作映画の制作断念や撮影延期により、コンテンツの供給も不足。映画館は日々赤字というのが実態だ。
映画チケットのオンライン予約サービスを手がける猫眼娯楽のデータによれば、3月22日時点で全国523カ所の映画館が営業を再開したものの、その日の総興行収入は4万1400元(約63万円)にとどまった。1館当たりわずか79元(約1200円)である。
電影局の通達が出た直後の3月27日夜には、営業中の劇場の数は194館に減少した。いったん再開した映画館の多くが再び閉館を選択したためとみられる。
(財新記者 劉爽爽)
※原文は3月27日配信
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