中国の粗鋼生産量が「上半期は微減」の背景事情 国内需要の低迷で、鉄鋼メーカーは軒並み赤字

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中国国内の鋼材需要の低迷は、不動産不況の長期化で開発プロジェクトの新規着工が減少しているのが主因だ。さらに、(地方政府による)公共インフラ投資の執行額も例年の水準を大きく下回っており、需要不足に拍車をかけている。

国内の需要不足を埋め合わせるための鋼材輸出の拡大は、貿易摩擦を過熱させかねない。写真は輸出される鋼材を検査する税関の係官(山東省の青島税関のウェブサイトより)

そんな中、国内需要の不足を部分的に埋め合わせているのが輸出の拡大だ。とはいえ中国の鋼材輸出は、量を確保するために価格を犠牲にするジレンマに直面している。

中国海関総署(税関)のデータによれば、2024年上半期の鋼材輸出量は5340万トンと前年同期比24%増加した。だが、平均輸出価格は1トン当たり778.8ドル(約12万2960円)と同26.9%の大幅下落を記録した。

求められる主体的減産

「消極的減産を余儀なくされた鉄鋼メーカーの一部は、鋼材相場の下落が一段落したら再び増産したいと考えている。だが、それは市場価格の再下落を引き起こし、悪循環を招きかねない」。前出のアナリストの徐氏は、そう警鐘を鳴らす。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

徐氏の見方によれば、2024年後半の鋼材相場の流れを決めるカギは(回復が期待できない需要サイドではなく)供給サイドにある。鉄鋼業界が自ら進んで減産に取り組まなければ、需給バランスの長期的均衡は望めないという意味だ。

財新記者の取材によれば、中国の中央政府は(国の基幹産業である)鉄鋼業界を健全な発展に導くため、粗鋼生産の新たな調整政策を打ち出す予定だった。しかし7月中旬の時点で、新政策はまだ発表されていない。

(財新記者:羅国平)
※原文の配信は7月15日

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