中国の2023年上半期(1~6月)の鉄鋼市場では、鉄鋼メーカーの生産量が全体的に増加した一方で、需要が期待したほど伸びなかった。その結果、鉄鋼メーカーの多くが業績悪化に直面している。
国家統計局が7月17日に発表したデータによれば、2023年上半期の中国の粗鋼生産量は前年同期比1.3%増の5億3560万トン、鋼材生産量は同4.4%増の6億7660万トンに達した。
そんななか、同日までに1~6月期の業績予想を開示した23社の上場鉄鋼メーカーのうち、半数を超える13社が純損益の赤字を予告。前年同期比で増益を見込む企業は、わずか4社にとどまった。
23社のなかで最大の赤字予想を示したのは、安徽省に本拠を置く馬鞍山鋼鉄だ。その額は22億3800万元(約434億8600万円)に上る。
「上半期は鋼材の需要回復が予想に届かず、市場価格が低迷した。一方で生産コストは相対的な高止まりが続き、鉄鋼業界全体の収益が圧迫された」。同社は業績予想の発表資料のなかで、そう釈明した。
下半期は政府からの減産圧力も
鋼材需要の低迷の背景には、不動産市況の悪化に伴う建築用鋼材の需要減少がある。国家統計局のデータによれば、2023年上半期の中国の固定資産投資額は前年同期比3.8%増加した。しかし内訳を見ると、(公共投資が中心の)インフラ投資が同7.2%、製造業の設備投資が同6.0%増加したのに対し、不動産開発投資は同7.9%の減少を記録した。
財新の取材によれば、中国政府の所管当局は2023年の通年の粗鋼生産量を前年並みに抑える方針だ。このことは、2022年の生産量である10億1800万トンを超える生産を、当局が鉄鋼メーカーに認めないことを意味する。上半期の生産量はすでに前年を上回っており、下半期は鉄鋼業界に対する減産圧力が高まりそうだ。
6月下旬に開催された鉄鋼業界のフォーラムでは、参加企業から次のような率直な声が上がった。
「需要の低迷、利幅の縮小、赤字拡大などの問題は極めて深刻だ。7月の受注も予想を大きく下回っており、下半期の先行きは楽観できない。企業は経営の安定を確保しながらコストダウンを進めなければならず、そのプレッシャーは極めて大きい」
(財新記者:羅国平)
※原文の配信は7月17日
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