日本学術会議の「解体」から始まる深刻事態とは? 科学技術と政治の関係はいかに歪められたか、そしてこれから何が起きるのか

6月4日夕、筆者は一眼レフカメラとペンを手に国会前に向かった。

日本学術会議の特殊法人化法案の成立を阻止しようと集まった、学者や市民約350人による路上集会を取材するためだ。「座り込み」をする学者の中には、2020年に起きた「任命拒否問題(菅義偉首相が、日本学術会議が推薦した会員候補のうち一部を任命しなかった問題)」で任命を拒否された当事者である加藤陽子・東京大教授(日本近現代史)と小澤隆一・東京慈恵会医科大名誉教授(憲法学)の姿もあった。
学術会議は特殊法人へ
とりわけ注目を集めたのは、初めて路上での抗議活動に参加した加藤教授だ。
マイクを手に教授が語ったのは、意外にも任命拒否にまつわることではなく、日本の科学技術政策において学術会議が果たしてきた役割と、法人化の真の狙いについての考察だった。
国会前ではこの日を含め、連日のように抗議活動が繰り広げられ、法案に反対するオンライン署名も7万筆以上集まった。だが、法案は6月11日の参議院本会議で、自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決・成立した。現在の学術会議は事実上の解体となり、2026年10月に特殊法人として発足する。この「改革」は今後の科学技術政策にどのような影響を与えるのだろうか。
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