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日本人ノーベル賞「4年でたった1人」の深刻劣化 「卓越研究大」で大学の「選択と集中」が加速

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研究力の低下が止まらない。

東北大学外観
国際卓越研究大学の選考初年の2023年は、東北大学のみが最終候補に残った(撮影:大澤 誠)

特集「2024大予測|経済・政治編」の他の記事を読む

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「科学技術立国」の実現に向けて懸念が一層深まるような2023年だった。

10月2〜4日に発表された自然科学分野のノーベル3賞である生理学・医学、物理学、化学の各賞の受賞者には、昨年に続いて日本人の名前はなかった。2年連続で日本人(米国籍を取得した出身者含む)の受賞者がなかったのは08年以降では初めてだ。ここ4年間でも受賞は1人だけである。

もっとも、足元の成果と今の科学技術政策の是非は必ずしもイコールではない。

文部科学省の科学技術・学術政策研究所の調査によると、自然科学分野のノーベル3賞の受賞者が、その栄誉につながったコア研究を開始した際の平均年齢は37.69歳。受賞までに要した平均期間は22.48年になるという。

論文数は過去最低の世界13位に

ここから見るに、過去20年前後の科学技術政策の失敗と研究力の低下が、わかりやすい形で表れてきたと取るべきだろう。

日本凋落の残念な事実は、研究の重要指標にも表れている。

科学技術・学術政策研究所の調査では、被引用数が上位10%に入る、すなわち影響力が大きい論文(いわゆるトップ10%論文)の数を各国で比較すると、最新の比較期間である19〜21年の3カ年平均で、日本は過去最低の世界13位に沈んだ。20年前には4位だったが、下降線をたどり続けている。

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