エコノミストが岸田政権の経済政策を評価。
自民党派閥パーティーの裏金問題で国民の間で不信感が高まる岸田政権。12月に入ってから各メディアの世論調査では支持率が2割前後に落ち込み、政局の不安定化が経済リスクにまであげられるようになっている(参考記事:エコノミスト予想【詳細版①】24年の日本経済)。
岸田政権は発足時に「新しい資本主義」を掲げた。「成長と分配の好循環」「コロナ後の新しい社会の開拓」をうたい、リスキリングの支援や資産所得の増加を推進、半導体など戦略分野の投資拡大、デジタル社会への移行など各種政策や改革を進めることで「新時代にふさわしい経済社会の創造」を目指すとした。
どのような経済を目指しているかわからない
岸田政権の進める経済政策について、大和総研の熊谷亮丸・副理事長は「資産所得倍増計画、少子化対策への取り組み、三位一体の労働市場改革、スタートアップの振興、安全な原発の再稼働、介護・保育従事者の賃上げなどは評価できる」とコメント。また三菱総合研究所の武田洋子・執行役員兼研究理事も「経済政策の大きな方向性は的を射ている」と回答した。
ただ、エコノミストの多くからは厳しい意見が大半だ。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎・経済調査部長は「新しい資本主義でどのような経済を目指しているのかわからない」という。日本総合研究所の西岡慎一マクロ経済研究センター所長も「岸田政権の政策の核が見えない点が問題」とし、「さまざまな課題に対して広く浅く対処しており、芯がなくて頼りない印象を深めている」と指摘する。
三井住友DSアセットマネジメントの吉川雅幸チーフマクロストラテジストは「子育て支援など人口減少への対応をアジェンダとして取り上げたことは重要。ただ、全体的には短期・中長期、需要サポート・供給強化などさまざまなものを取り上げていて、総花的になっている」「どのような経済のあり方を目指しているのか、考え方を整理して、提示する時期にきている」と提言する。
政策が総花的になっていることに付随して財源を懸念する指摘も相次いだ。武田氏は「財政規律の弛緩が懸念される」として、「財政への信認を損なわぬよう、重要な政策と財源は一体として示す姿勢が求められる」と注文をつける。
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