植田総裁はどう動くか。

![週刊東洋経済 2023年12/23・12/30新春合併特大号(2024大予測)[雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/51Pa1qc9iYL._SL500_.jpg)
日本銀行は、2024年春闘での賃上げの状況を受けて、4月にマイナス金利解除=利上げを行うとの見方が大勢だ。
年8回の金融政策決定会合のうち、大きな政策変更は1・4・7・10月に行われる可能性が高い。「展望レポート」で物価見通しを示すからだ。これまでの日銀の発信に沿えば、「賃金上昇を伴う形で2%の物価上昇目標が持続的、安定的に実現する見通し」が立ったと判断したうえで、金融政策の枠組み転換に踏み切ることになる。
「日銀にとってマイナス金利解除はシンボリックな意味を持つ。絶対に失敗できない大きな意思決定だ」と元日銀理事の門間一夫氏(みずほリサーチ&テクノロジーズエグゼクティブエコノミスト)はみる。ゼロ金利導入以降の25年間で日銀が利上げした局面は、2回ともその後に世界景気が後退し、「早すぎた」と批判を浴びた。
金融環境の大転換
マイナス0.1%からゼロにすること自体は「0.1%の利上げ」にすぎず、金融市場へのインパクトも限られる。問題はその先だ。
「安定的・持続的に物価2%」といいながら政策金利がゼロのままでは、大幅な緩和状態が続いてしまう。そのため、景気に対して緩和でも引き締めでもない水準といえる2%近くまで引き上げていくことになる。この25年間、0.5%に達したのは07年以降の1年半程度で、金融環境の大転換となる。
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