7月末の金融政策決定会合で、日本銀行は市場参加者の大方の予想を裏切って、追加利上げ(政策金利0.1%→0.25%)に踏み切った。筆者は、その背後に日銀の利上げ戦略の修正があったと考えている。
植田和男総裁は就任以前からインタビューなどで、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作=YCC)のように副作用の大きい政策は早めにやめたい一方、政策金利の引き上げについては、「早すぎるリスクのほうが遅すぎるリスクより大きい」として、慎重な姿勢を示していた。その後1年余り、植田日銀はそのとおりに動いてきたといえる。
戦略修正はおおむね妥当
実際、YCCは早くも昨年の10月に形骸化された。一方でマイナス金利の解除を決めたのは、2%超の物価上昇が2年近く続き、今年の春闘での大幅賃上げが公表された後だった。このような意図的に引き締めを遅らせるビハインド・ザ・カーブ戦略が続くなら、7月の追加利上げは「早すぎ」である、印象だった。
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