安定した物価上昇と賃上げの好循環は実現するか。
2023年は新型コロナの社会的影響が薄れる一方で、インフレが市民生活を直撃した1年だった。また「失われた30年」といわれる日本経済でも、物価の上昇が起こりうるという意識と、企業も賃上げに応えるのが責務との考えが広まり始めた。
24年は政府・日本銀行が望む、安定した物価上昇と賃上げによる好循環が実現し、日本経済は上向くのか。東洋経済が23年11〜12月に実施した18人の有力民間エコノミストに対するアンケートでは、24年度もそれが容易でないとの見立てがなお強い。
24年度の実質GDP(国内総生産)成長率は、18人全員が23年度より低下するとみる。うち11人が1%以下と予測。人手不足による供給制約を背景に、企業は生産性向上に向け設備投資を活発化する一方、民間の住宅投資は23年度に続いて弱い。
全員が成長率低下を予想
輸出も伸び悩む。23年度はサプライチェーン正常化もあり、15人のエコノミストが輸出は前年度比で3%増になるとみている。一方で24年度は中央値が1.9%増にとどまる見通しだ。
実際、24年度の日本経済を襲う大きなリスクとして、15人が海外経済の動向を挙げた。とくに「中国における不動産市況の急激な悪化、米国経済の急激な減速」(武田洋子氏)、「米国銀行の貸し出し態度厳格化による米国景気の大幅悪化」(熊谷亮丸氏)、「米中経済の失速が最も大きなリスク」(小玉祐一氏)など、世界経済2大国への懸念は大きい。
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