成長の停滞とインフレが同時におこるスタグフレーション。実質賃金が上がり、日本はそれを回避できるか正念場だ。
2023年10~12月期の実質GDPが2四半期連続のマイナス成長となった。経済の全体感として景気が明確に下向きとはいえないものの、月次データでは、今回のGDP発表前から個人消費に停滞感が生じていることは確認されていた。日本銀行が作成している消費活動指数を見ると、昨年12月までの4カ月間でインフレ控除後の実質消費水準は2.2%も切り下がっている。昨年の春闘を機に賃金上昇率は以前より高まっているが、インフレ率の高さから実質賃金がまだマイナスを脱していないことが消費活動の足かせになっている可能性がある。
インフレ定着で金融緩和の意味合いが問われる
対照的なのは米国の個人消費動向である。高かったインフレ率が落ち着いてきたことで、高水準の名目賃金の伸びとも相まって実質賃金が上昇している。大幅な金融引き締めにもかかわらず、米国の消費が堅調な水準を維持している一因はそこにある。日本では今年の春闘にも期待は高まっているが、このままインフレ率が高止まりすると、所得の増加が個人消費の活発化をもたらさない懸念がある。
そういった中で、現時点で日銀はまだ2%のインフレ目標達成を目指して大規模緩和を続けている。コアCPI(生鮮食品を除く消費者物価指数)は2022年4月以降2%を上回っている。ただ、日銀はこれはあくまでも輸入価格や資源価格の上昇による一時的なもので基調的なインフレ率はまだ2%に達していないという認識だ。それでも今後数カ月中にマイナス金利解除までは行われる情勢となってきているが、その先も緩和的な金融環境を維持すると日銀は説明している。
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