政府や日本銀行から「賃金と物価の好循環が回り始めた」という発言を聞くことが多くなった。実際、消費者物価の前年比は日銀が目標とする2%を2年以上上回っており、所定内給与(共通事業所ベース)の前年比も昨年後半から平均2%超だから、賃金と物価がともに上がるという意味で好循環が実現しつつある。
だが、国民がこれを歓迎する様子はない。実質賃金が2年以上前年比マイナスなのだから、当然である。昨年は久しぶりの大幅賃上げで個人消費の回復が期待されたが、インフレ率が予想以上に高止まりした結果、個人消費はむしろ弱含みに終わってしまった。
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