来年の春闘の行方が、2つの観点から大いに注目を集めている。賃金上昇率が物価上昇率に追いつき、個人消費への逆風が収まるか、そして日銀の金融政策修正のトリガーになるか、である。
来年の春闘が今年の水準を超えるか不透明
日本最大の労働組合「連合」によると、今年の春闘での賃上げ実績は、賃金全体で3.6%増、定期昇給分を含まない基本給引き上げ分のベースアップで2%強と、30年ぶりの高水準となった。しかし、9月の実質賃金上昇率(名目賃金上昇率−物価上昇率)は前年同月比2.9%減と18カ月連続のマイナスとなり、物価上昇率に賃金上昇率が追いつかず、国民生活は圧迫され続けている。
政府や労働組合は、できるだけ早期に賃金上昇率が物価上昇率を上回る状況をつくり出そうとしている。実際、経済状況が安定を維持し、労働需給の逼迫傾向が続く場合には、来年の春闘でも賃金上昇率は近年の中ではかなり高めの水準になることが予想される。
しかし、来年の賃金上昇率が今年の水準を大幅に上回るかどうかについては、なお不確実だ。それは、物価上昇率の低下傾向が、賃上げへの逆風となるからだ。今年の春闘がヤマ場を迎えていた際に参照されていた、1月分の消費者物価指数では、コアCPI(除く生鮮食品)の上昇率は前年同月比4.2%増だった。それに対して、足元のコアCPIは同3%増程度であり、来年1月には伸びが2%強に低下することが予想される。その場合、昨年1月の半分程度の水準にとどまるのである。
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