日本が学べることは何か。
世界最古の中央銀行、スウェーデンのリクスバンク。同国が労働分配率を保ち、生産性向上に見合った実質賃金の上昇をなしえている点に着目してきた山田久・法政大学教授は、2016年に同行で行ったヒアリングが印象に残っているという。
08年の世界金融危機後、リクスバンクは他の中央銀行と同様に金融緩和を進めた。他国よりも早く経済が回復し、不動産バブルが懸念される状況になっても緩和を続けた。
「他国に先駆けて引き締めに転換すれば、通貨クローナ高による輸入物価の下落を通じてデフレ圧力となるからなのか」と山田教授が質問すると、少しずらした答えが返ってきた。「デフレが懸念される局面で金融を引き締めると、中央銀行のスタンスが労使交渉に影響を及ぼしてしまう」。
「労働組合が強い国」
スウェーデンは労働組合が強い国だ。輸出産業の労使で決めた賃上げ率が全体に波及する。実質賃金と国際競争力を両立させるよう労働市場が形づくられている。リクスバンクの物価目標と生産性上昇率を軸に賃上げ率を導き出す。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら