明日発表!植田日銀に「12月利上げ」はあるのか 「トランプ2.0」の影響と日銀への利上げ圧力

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元日銀企画局審議役が総合的に分析した日銀の利上げ予測の結果とは。

さまざまな要素を勘案しながら利上げのタイミングを計っている日本銀行の植田和男総裁(写真:Bloomberg)

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筆者は、今年7月の日本銀行の利上げ前に拙稿「『日銀利上げ』の確率を過小評価すべきではない」を公開したが、そこで書いた日銀の利上げ戦略は現在も有効である。

日銀の12月利上げは可能な環境だが……

金融環境はまだまだ緩和的である。これを言いすぎると利上げを急ぐタカ派と解釈され、政治的な反発も含め、かえって政策がやりにくくなる。そのため日銀は市場とのコミュニケーションに苦労しているが、現在の政策金利が、景気を刺激も冷やしもしない中立金利のさまざまな推計値の下限をはっきり下回っていることは事実であろう。

市場でもこのまま世界経済に大きなショックが起きなければ、2025年度中にも政策金利は1.0%に達するとの見方が増えている。おおむね半年に1回の利上げペースだ。

7月の利上げからそろそろ半年、12月会合(決定発表は19日)で利上げはあるだろうか。

日銀はきっちり半年に1度というペースにコミットしたつもりはないだろうから、利上げ環境が整ったと判断すれば、半年が経過する1月会合を待たず12月に利上げすることに躊躇はないだろう。そして、物価や賃金も総じて利上げがあってもおかしくない動きになっている。

大企業では2025年の春闘で高めの賃上げを期待させる動きがみられているし、中小企業やサービス業の人手不足は深刻である。為替も1ドル150円付近で一進一退だがトランプ氏の当選以降は円安トレンドである。

政治家や市場の一部には景気の足取りを確かにするために利上げすべきでないという意見もあるが、インフレにつながる円安がさらに進むリスクとどうバランスを取るかが問題である。

市場で利上げが予想されているときに利上げしなければ、再び1ドル160円に接近する、あるいはそれを超えるような円安が起きる可能性は小さくない。

そうした日銀の利上げ戦略にとって最大の悩みは、言うまでもなく「トランプ2.0」である。

11月のトランプ氏当選後、市場は株高、金利高、ドル高という反応を示したが、不確実性を完全に織り込んだとはとてもいえない。2025年1月20日の大統領就任後に市場がどう動くかを読めない中で、日銀は12月に利上げへ動くべきであろうか。

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