日銀に対して長らく批判論陣を張った末に、副総裁として異例の政策を推進した学者が語る「歴史的転換」の評価。
※2024年3月24日(日)6:00までは無料で全文をご覧いただけます
――日銀が異次元緩和の解除を3月19日に決めました。どう受け止めていますか。
異次元緩和が終わらない状況というのは、日本経済がダメなままでいるということだから、いずれは今回の決定のように短期金利操作を軸とした通常の金融政策に戻すものだと思う。
しかし、このタイミングでの解除には大きな疑問が残る。正直、「どうして焦って決めてしまったの?」という印象だ。
企業の賃上げの結果は十分に出そろっておらず、「賃金や物価の好循環」について確認できたとはいえない。現在出ているのは、一部の大企業を中心とした春闘の「満額回答」「要求以上」のニュースだ。
6月ごろになれば、中小企業も含めた企業全体の賃上げ動向がわかってくる。そこまで待たずに、日銀は「賃上げは浸透するだろう」という希望的観測に基づいて決断をした。
金融緩和の出口はつねに早すぎる
そうした強気の見通しをした根拠の1つに、日銀は「ヒアリング情報」を挙げている。これはおそらく支店長会議での情報だろう。ただ、支店長会議の場では本店の意向を踏まえた情報を報告する傾向があるため、あまり信用してはいけないというのが実感だ。
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