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2024年のほうが円安リスクが高いといえる理由 日本円の弱さは構造的なもので反転は不透明だ

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円安 150円
今年も1ドル=150円台の円安を経験し、主要国通貨で最弱の状態が続いている(撮影:梅谷秀司)

2023年も終わりが近づいてきた。今年の為替市場は強い通貨、弱い通貨がともに昨年と似ている。昨年と今年でパフォーマンスが大きく異なった通貨もあるが、昨年との類似は過去2年間の国際政治経済に関するインプリケーションを考えると興味深い。

過去2年の最強通貨と最弱通貨

主要通貨の中で今年最強なのはスイスフランだ。同通貨は昨年、米ドルに次いで2番目に強かった。ロシアのウクライナ侵攻や現在のパレスチナ情勢など地政学リスクが影響した可能性は高い。

過去2年間を通じてスイスフランの次に強いのは米ドルだ。スイスフランは米ドルに対して5%程度上昇し、金は米ドルに対して15%も上昇。つまり、スイスフランより金のほうが強い。

新興国通貨で特徴的なのは、メキシコペソとブラジルレアルの強さだ。両通貨は昨年も今年も、主要通貨で最強だった米ドル、スイスフランよりも強い通貨となっている。通常、昨年のようにFRBの利上げ期待が高まり、米ドルが強くなると新興国通貨は弱くなる傾向があったが、FRBの金融政策に対する見方にかかわらず、ペソもレアルも強い。メキシコもブラジルも経済の強さを背景に、実質金利の高さが際立ち、それが強さの背景である可能性は高い。

逆に主な新興国通貨の中で2年連続最弱なのはトルコリラだ。主要通貨も含めて、3年連続で円より弱い通貨となったのは、トルコリラだけである。

主要通貨では、このまま大きな変化がなければ、今年も円が最弱通貨となる。円は昨年、主要通貨の中で2番目に弱く、一昨年は最弱通貨だった。昨年に、最弱通貨だったスウェーデンクローナに対し1%上昇した程度であり、円は3年連続で主要通貨の中で最弱通貨の1つと言っていいだろう。

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