今年は本邦投資家も含め、世界的に債券投資家にとって受難の年となった。アメリカ長期金利は10月のCPI(消費者物価指数)の落ち着きなどから足元で低下しているとはいえ、10月下旬には10年債金利が一時5%を超えた。昨年末時点での今年末の市場コンセンサス予想は、10年債金利が3.9%(昨年末水準)から3.4%に「低下」するというものであった(ブルームバーグ集計)。
大きく裏切られたアメリカの景気後退予想
これだけ大きく予想が裏切られたのは、鈍化したとはいえインフレ率が高止まりしたためだが、なぜ高止まりしたのか。端的にいえばアメリカの経済成長率が期待したほど減速しなかったからである。第3四半期の7~9月期までの平均成長率は3%超と、2%弱とみられる潜在成長率を大きく上回っている。1年前の時点で、市場は2023年のアメリカ経済のマイナス成長入りあるいはリセッションを予想していた。
では、なぜアメリカのリセッションは回避されたのか。現時点で誰もが納得する明確な解答があるわけではない。しかし、現象的には消費が想定以上に堅調だったということに対して異論はないだろう。消費堅調の要因は、「過剰貯蓄の残存」、「経済再開需要」、「雇用堅調」、「資産効果」など複数が指摘されている。1つに特定することは難しいが、「消費の持続力」に絞っていえば、過剰貯蓄の枯渇が想定より遅れているという点を第一に考えるべきだろう。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら