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分岐点を迎えるアメリカ経済をみる6つの視点 アメリカ経済の下振れ懸念の材料が増えている

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アメリカ自動車工場 UAW ストライキ
UAWによるストライキが残した影響や政府つなぎ予算の期限と政局混乱など下振れリスクがアメリカ経済を襲う(写真:Nic Antaya / The New York Times)

長年クレジットの観点で金融市場を見てきた筆者は悲観的な見方に寄りがちかもしれない。そこは割り引いていただくとしても、2022年はほぼ0%だった金利が5%へ上昇したにもかかわらず、米S&P500は11月7日時点の4378ドルで年初来14.49%増だ。この現状はすでに説明不能と考えているのだがどうだろうか。そのように考える根拠をいくつか指摘したい。

雇用統計に弱さが生じている

第1に、直近の経済統計に弱さが混じり始めている。例えば雇用統計。強含んでいた雇用統計のうち、労働所得の伸びは鈍化している。雇用が堅調でも所得が伸びなければ、いずれは総所得の前年比伸び率が低下し始めることになる。

またアメリカ地区連銀経済報告(ベージュブック)では、9月から10月初めの期間を対象に「大半の地区で全体的雇用はわずかないし小幅な伸びにとどまり、企業は採用をさほど急いでいない」と指摘している。失業保険の申請件数はなお記録的な低水準にあるものの、消費者信頼感データは将来的な雇用に関する不安の増大を示唆する。

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