きっかけは「アジア・ピボット」だった。
鳴動する政治。終息しない戦乱。乱高下する市況。その先にあるのは活況か、暗転か――。
『週刊東洋経済』12月23-30日 新春合併特大号の特集は「2024年大予測」。世界と日本の行方を総展望する。
米国による中東への関与が薄れる中、湾岸諸国の生存戦略は変貌を遂げている。中東・湾岸地域の安全保障に詳しい日本エネルギー経済研究所中東研究センターの堀拔功二・主任研究員が、その背景と展望を解説する。
1979年のイラン革命以降、米国は湾岸諸国におけるイランやイラクとの政治的・軍事的な均衡を取るバランサーとしての役割を発揮してきた。しかし近年、湾岸諸国の「米国離れ」が進んでいる。
きっかけは、オバマ政権(当時)が掲げた「アジア・ピボット(回帰)」だ。オバマ氏は中国を念頭に、中東における軍事プレゼンスを縮小し、東アジア情勢への対応に力を入れようとした。
不安を現実化させたバイデン政権
「アラブの春」と呼ばれる中東・北アフリカ地域の民主化運動は、結果的にイランの影響力が強いシリアでの内戦や軍の権力強化を招いたが、オバマ氏はこれを楽観視していた。そのため、2015年に結ばれたイラン核合意とその後の対イラン制裁の解除は、湾岸諸国にとって新たな不安を与えた。
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