実態を冷静に見る必要がある。
「グローバルサウス」という言葉が、日本でも広く使われるようになった。その「盟主」と称される国が「人口世界一」とされるインドで、世界各国が動向を注視している。
2024年の同国で最も注目すべきポイントは、4〜5月に実施される可能性の高い総選挙である。
14年5月にナレンドラ・モディ首相が率いるインド人民党(BJP)政権が成立して以降、国政レベルでは「BJP1強」という状況が続いている。総選挙を前に野党側は、インド国民会議派を中心に多数の地方政党が加わった政党連合「INDIA」を結成し、BJPに対抗する構えである。
実は、国政における1強多弱の状況とは異なり、地方では野党勢力が約半数の州で政権を握っている。そのため、(1)地方レベルの支持を国政レベルの支持に転換する、(2)政府・与党への対抗軸を明確に打ち出し、政党連合内で共有する、という2点が野党側にとって重要な課題となる。
モディ政権が3期目を迎えるのか
一方、政権維持を狙う与党側は、モディ首相を前面に押し立てる大統領選挙型のキャンペーンを展開すると予想される。これまで2回の総選挙でBJPを単独過半数へと導いた実績と国民的人気の高さから、モディ氏が与党内で絶対的な権力と圧倒的な存在感を誇っていることが背景にある。
24年総選挙は、BJPが勝利し、モディ政権が3期目を迎えるのか。さらに、「BJP1強」と「モディ1強」という、この10年間のインド政治の構図が続くのかという点でも注目される。そして、「BJP1強」と「モディ1強」が続くことになった場合、モディ氏(73)の後継者問題が、政府・与党にとってますます避けられなくなっていくだろう。
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