グローバルサウスの盟主を自認するインドは、中国の「一帯一路」に警戒感を持っている。
2023年に世界一の人口大国となったインドは現在、総選挙の真っただ中にある。
6月4日には一斉に開票が行われ、新政権が発足するが、各種世論調査では、与党・インド人民党が圧勝し、モディ政権の続投が有力視されている。
そのとおりになれば、14年に発足したモディ政権は29年までの長期政権となる。その間には、モディ首相自身が誇るように、インドは日独のGDP(国内総生産)を抜き第3の経済大国になっているであろう。国力を増すインドという国は外交・安全保障面ではどういう方向に向かうのだろうか。
リージョナルなレベルでは、インドはこれまで2つの隣国から安全保障上の脅威を突きつけられてきた。パキスタンと中国である。このうち、今日(こんにち)、および今後のインドがより大きな脅威と認識するのは、言うまでもなく中国だ。
圧力と攻勢を強める中国
パキスタンとは、インドはこれまでの戦いで少なくとも明確な敗北を喫したことはないが、中国には1962年の国境戦争で苦杯をなめ、通常・核戦力、さらに国境付近のインフラでも明らかに後れを取っている。厄介なのは、経済・軍事力で急速に台頭した中国が、とりわけ習近平体制発足以降、日米や台湾、東南アジアに対してのみならず、インドに対しても圧力と攻勢を強めている点である。
その1つは、中国がインド周辺国に影響力を拡大させていることだ。インドはヒマラヤ山脈で仕切られたインド亜大陸の南アジア諸国を、自分たちの裏庭=「直接近隣」と見なしてきた。
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