原油を中東に頼る日本は、海上輸送でも不利な条件を抱えている。

(写真:butoc / PIXTA)
ウクライナ、イスラエルとガザ、台湾有事、朝鮮半島の緊張…… 世界が混迷を極める中、「地政学」は地理と歴史の観点から、国際情勢の読み解き方を教えてくれる。『週刊東洋経済』4月20日号の第1特集は「わかる! 地政学」。地政学がわかると世界の仕組みが見えてくる!
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地政学上の概念に「チョークポイント」がある。チョークは「相手ののどを詰まらせる」「苦しませる」の意味で、交易や軍事のうえで重要な海上水路を指す。
エネルギーの9割を海外に依存する日本にとって、海峡や運河を安全に航行できるかは国益に直結する事柄だ。政府のエネルギー白書では原油の輸送リスクを示す「チョークポイント比率」を掲載している。
ホルムズ海峡、マラッカ海峡、トルコ海峡、デンマーク海峡、バブ・エル・マンデブ海峡、喜望峰、スエズ運河、パナマ運河の8つをチョークポイントに設定。
各国の輸入原油の総量を分母に、チョークポイントを通過する輸入原油の数量を分子にして計算する(チョークポイントを複数回通過する場合は、数量をその都度カウントする)。数値が大きいほどリスクが高いことを示す。
リスクが高い日本
2021年の日本の比率は183.2%で、ドイツの56.8%、米国の22.2%などと比べ数値が大きい。中東からの原油はアラビア半島沖のホルムズ海峡とマレーシア沖のマラッカ海峡の2カ所を通るのが理由だ。
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